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お客様の声

コロナ病棟での感染リスクを低減 非接触センサーにより患者の状態を把握

地方独立行政法人 大阪市民病院機構
大阪市立十三市民病院
看護部長 森坂佳代子さん
病棟師長の皆様

 大阪市立十三市民病院は2020年5月に新型コロナウイルス感染症の中等症患者を受け入れる専門病院になりました。病院の全スタッフが一丸となって対応し、これまで院内感染を起こさず850人を超える患者を受け入れてきました。高齢患者が多い同病院では、以前からベッド内蔵型の荷重センサーである「離床CATCH」や体動センサー「眠りSCAN」(※1)などを導入してきました。これらのシステムは、特に新型コロナウイルス感染症病棟では、感染リスクの低減対策などに活かされています。同病院看護部長の森坂佳代子さんをはじめ師長の皆さんに、医療安全と看護師業務の改善への活用をお聞きしました。

国内初の新型コロナ専門病院に 病院の全スタッフで対応

 大阪市立十三市民病院は263床の急性期総合病院で、大阪市の北部、淀川区周辺をカバーしています。大阪市長の指示により、当院は2020年5月から新型コロナウイルス感染症の中等症患者を専門に受け入れる病院となりました。国内初のことです。入院患者はすべて近隣の病院に転院してもらい、外来診療も中止しました。5〜7階の一般病棟、8階の結核病棟をすべて新型コロナウイルス感染症専門病棟に変えました。
 どの病棟でも最善のケアができるように、スタッフみんなでマニュアルを作り、受け入れに備えてシミュレーションを繰り返しました。この経験とノウハウを医療や介護の現場でも活用していただきたいと、マニュアルを基に『新型コロナウイルス感染症[COVID -19]対応BOOK』を20年8月に発刊しました。12月には続編として重症化を防ぐケアのポイントをまとめた『新型コロナウイルス感染症もっと対応BOOK』を上梓しました。

離床CATCH、眠りSCANを 看護業務の負担改善に活かす

 以前から、当院を受診する患者は高齢者が多く、一般診療では高齢の患者が約7割を占めています。高齢の入院患者のケアをする上で威力を発揮しているのが16年から導入した「離床CATCH」です。ベッドに内蔵された荷重センサーが起床・離床行動を検知して、中継ユニットを介してナースコールで知らせます(図)。当院では、16年以降は、全て離床CATCHが搭載されたベッドを購入しています。
 19年には離床行動だけでなく睡眠状態や呼吸数、心拍数(※2)などの確認に活用できる「眠りSCAN」も導入しました。 「眠りSCAN」では睡眠状態を検知できるので、おむつ交換も目が覚めたタイミングで行い、眠りを妨げないようにしています。新型コロナウイルス感染症病棟では、これによってレッド(陽性)ゾーンに入る頻度を減らすことができ、感染のリスクを大きく低減できています。
 また、睡眠薬を変えたときなども睡眠状態を処方医にデータとして正確に報告できるので、的確に調整してもらえるようになりました。

離床CATCHとナースコールのシステム構造図
離床CATCHを装備したベッド(左)とナースコール中継ユニット(右)

認知症などの行動予測が難しい患者に使用

 新型コロナウイルス感染症病棟に入院してくる患者も70歳以上の高齢者が大半を占め、認知症の方も少なくありません。認知症の方は、レッドゾーンから出ないようにお願いしてもすぐ忘れてしまうことが多く、また看護師がナースコールについて説明しても覚えていないことがよくあります。 「離床CATCH」があれば、自分でナースコールを押せなくても、起床・離床すればナースステーションに知らされるのですぐに対応ができます。
 また、「眠りSCAN」を使えば呼吸数・心拍数が設定した条件になった場合にもナースステーションに通知されます。実際、ある患者の呼吸数が急に増えたと通知が出たので病室に確認に行ったら、ベッド上で嘔吐されていていたことがありました。すぐに対応できたため、事なきを得ました。

大阪市立十三市民病院の病棟看護師長の皆さん(前列中央は森坂佳代子看護部長)

眠りSCAN eye導入で感染リスクも低減

 21年1月には、「眠りSCAN」とカメラが連動したシステム「眠りSCAN eye」を導入しました。「眠りSCAN eye」は、病室内の映像を遠隔のパソコン端末で確認できるほか、「眠りSCAN」で設定した状態変化の通知にあわせて映像を表示することができるシステムです。これによりベッドサイドにかけつけるべきか、より的確な判断が可能になりました。導入以前は、レッドゾーンでナースコールが鳴るたびに、防護服に着替えて確認に行かなければならなかったため、看護師の負担も大きかったのです。その負担と感染リスクを低減できるようになりました。
 あるとき、「眠りSCAN」で通知があり、カメラで確認すると、ベッドから降りようとしていた患者の姿が急に見えなくなったので、転倒したと思って急いで病室に行くと、床にしゃがみ込んでいたというケースがありました。転倒・転落は大きな事故につながりかねないので、早期対応はとても重要です。「眠りSCAN eye」を活用して、転倒・転落前の体動( 寝返り、呼吸数、心拍数)と照らし合わせ、原因を把握し対策を検討することも行っていきたいと思います。
 当院では、これからも看護師業務の負担改善と安全性の向上との両立に取り組んでいきます。その一環として、こうした機器を駆使することで、異常や問題などを早めに予測、キャッチして対処する「先取り看護」をできる限り実現
したいと考えています。さらに使い方を学んで活用を拡充していきたいと思います。

※1:眠りSCAN(NN-1120)一般医療機器 届出番号 12B1X10020000125
※2:呼吸、心拍に相当する体動から算出したものを心拍数、呼吸数と表現。


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